読書MEMO--『インフレとデフレ』

岩田規久男『インフレとデフレ』1990、講談社現代新書 ISBN:4061490168
日銀が量的緩和を辞めるということで、再読ちゅ。前回は斜め読み。今回は少しゆっくり目に。
要するにインフレってのは、物価があがる(=貨幣の価値が下がる)ってことで、貯金している人が損する(貨幣の価値は名目。昨日100円で買えたものが買えなくなる)。同様に名目である利子率も相対的に下がるために、借金しやすくなる(借り手に得)。だから、現在のようなデフレ状況だと、なんもしなくても物価が下がるために借金が増える(貨幣の価値があがる)。

……2日で物価が2倍になるとき、今日\10,000借りて、それでモノを買った人は、2日後に、そのモノを売れば\20,000になる。2日間の金利がたとえ1割だったというような高い水準だったとしても、利息は1000円にしかならないから、借り手は\10,000借りて差し引き\9000もの利益を得る。
 たった2日間で90%の利益率である。借りれば借りるほど得をするのである。逆に、預金や国債を購入したり、年金の保険料を支払うお金の貸し手は二日後に利息を受け取っても、二日前の半分のものしか買えない。
 ハイパーインフレはこのように富を大々的に人々の間で再配分する。ハイパーインフレで大きな損失を被ったのは、まじめに働いて節約に励んできた人々であった。逆に大きな利益を得た人は、お金を借りて機敏に土地をはじめとするものに投機をした目先のきく人々であった。(P24-5)

正直、バブルが崩壊した頃に物心を覚え、毎日デフレへの議論が流されてくる環境にいるおいらたちの世代からすると、インフレの驚異というものが実感出来ない。しかし、今日本の中枢にいる人々たちは、インフレは常に警戒しなくちゃいけないものだったのだろう。だからこそ多少のデフレでも大丈夫?という議論も出てくるんじゃないかなぁとも思う。
しかし、それなら昨今の株ブームは、やはりデフレ脱却の一つの判断の一つだったんだろうかな。